霧氷の尾根へ





「明日は朝のうちは曇りですが、午後からは晴れるでしょう。」
前日、ラジオから流れる天気予報。

「ほら、明日は晴れだよ。どこか山へでかけないとなぁ!!

夕食後 地図を広げて歩くコースを物色中の彼、なんだか後姿までルンルン気分がみてとれる。


翌朝、7時にセットされている目覚まし携帯の♪で目覚めた彼、私の方をみてちょっと苦笑い。
早朝からお鼻グスグスのために私のベッドサイドに積み上げられたティッシュの山を見たからだ。

「今日は、一日ベッドの中で寝て過ごしなさい。」

「ゆっくり小屋でバードウォッチングでもしているわ。だから一人で山へ行っていいよ。」


「しょうがないな〜、今日は 山へは行かずにのんびりと雪原歩きでも付き合ってやるか。」

そんなわけで、ゆっくりと朝食をとった後、簡単なお茶の用意とカメラを持って、 車に乗り込んだ。

向かうはいつものお気に入りの森方面。
でも今日は山ではなく、の下に広がる湿原を目指す。


でも、なぜか山を登っている・・・?




目的地へ向かう車窓、前方に霧氷で輝く山々が広がっていた。

「きれいだなぁ。ここから200m程上の尾根か、おしいな・・・」
「でもすぐそこだよな・・・」
「あの尾根、ここから上がるといいのかなぁ」

なんだか、いつもの彼のパターンだ。

「そうだ、ちょっとだけ登って、適当なところで湿原(雪原)に下りればいいよね!」

ということで、車を止めたら平らな湿原方面には向かわず、急斜面をいつものようにザクザク登り始めたというわけ。

急な登りは最初だけで、少し広めの尾根に出ると美しいブナ林が広がり、眼下の景色もGoodである。


「ねぇ、霧氷はどこですか〜? 見当たりませんけれど・・・?」
「あるんだけれど、木の上で高すぎてよく見えないんだ。」




そういえば、高い木のてっぺんは少し白く霧氷で薄化粧。

「あら、これじゃぁ、いい写真撮れないね。」
「あそこまで行けば、 ほら、 真っ白だよ。」

彼が指差すのはもっと上にある前方の尾根、どうやらあそこまで行くことを覚悟しなければならないようだ。

「体調、どう?」
一応、私が風邪気味だということは覚えているようだ。

「この程度なら大丈夫みたい」

本当に具合悪ければきっと歩くことができないが、今朝はなぜか歩いていると調子が良い。

それに雪上にはウサギやカモシカの足跡もあって、なんとなく歩いているのが楽しい!





標高を上げると、そこはまるで満開の桜並木のような美しい世界が広がっていた。


 

強い風に飛ばされた冷たい霧氷が時々頬を打つが、そんなことも気にならないほど 樹上の氷花は魅惑的。






美しいブナの森・・・




頂上手前で美しい霧氷をお別れをし、そこから違う尾根を下ることに。

風があたらないところで、Tea Time.




「今日は軽い湿原歩き予定だったから、 ランチ持ってこなかったものねぇ。」

「来なければヨカッタと思っている人?」
「 ・・・・・・ 」
「ねっ、来てヨカッタだろ〜?! 」


本日の最後は、目的地だった広い雪原。






ここには本来湿原なのだが、積雪期はどこでも自由に歩けて、もう最高〜!!




それに、だ〜あれもいないのが、いいんだよね・・・

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